赤血球沈降速度（せっこうきゅうちんこうそくど）は、血液中の赤血球が重力によって下に沈降する速度を指します。この速度は、炎症や感染症などの疾患の診断において重要な指標となります。本記事では、赤血球沈降速度について詳しく解説し、その意義や測定方法についてもご紹介します。
まず、赤血球沈降速度の測定方法についてです。一般的な方法としては、ウェステルグレン法という手法がよく使われます。この方法では、血液を一定の時間経過後に測定し、沈降した赤血球の高さを計測します。赤血球沈降速度は、単位時間あたりの赤血球の沈降距離を表すため、mm/hという単位で表されます。
赤血球沈降速度は、さまざまな疾患の診断において有用な情報を提供します。例えば、炎症性疾患や感染症では、炎症反応によって血液中の赤血球が凝集し、沈降速度が上昇する傾向があります。したがって、赤血球沈降速度の上昇は、これらの疾患の存在を示唆する指標となります。
赤血球沈降速度の意義
赤血球沈降速度は、炎症性疾患や感染症の診断において重要な役割を果たします。具体的には、以下のような意義があります。
- 炎症反応の程度の評価：赤血球沈降速度は、炎症反応の程度を評価する指標として利用されます。炎症反応が強いほど、赤血球の凝集が進み、沈降速度が上昇します。
- 感染症の診断：感染症では、炎症反応が起こり、赤血球沈降速度が上昇する傾向があります。そのため、赤血球沈降速度の測定は、感染症の診断において重要な情報を提供します。
- 疾患の経過観察：赤血球沈降速度は、疾患の経過観察にも役立ちます。治療が進むにつれて、炎症反応が抑制され、赤血球沈降速度が下がっていくことが期待されます。
赤血球沈降速度の測定方法
赤血球沈降速度の測定方法には、以下のような手法があります。
- ウェステルグレン法：血液を一定の時間経過後に測定し、赤血球の沈降高さを計測します。
- ミクロメソット法：血液を特殊な容器に入れ、沈降した赤血球の高さを計測します。
- 電子沈降法：血液を専用の装置に入れ、赤血球沈降速度を自動的に測定します。
赤血球沈降速度の異常値とその意味
赤血球沈降速度の異常値は、病気の存在やその進行状況を示す重要な指標となります。以下に、異常値とその意味について説明します。
- 上昇した場合：赤血球沈降速度が上昇すると、炎症性疾患や感染症の存在を示唆することがあります。また、悪性腫瘍やリウマチなどの疾患の進行状況を把握するためにも重要な情報となります。
- 低下した場合：赤血球沈降速度が低下すると、貧血や免疫不全などの疾患の可能性が考えられます。さらなる検査が必要となることがあります。
赤血球沈降速度の注意点
赤血球沈降速度の測定には、以下のような注意点があります。
- 他の要因による影響：赤血球沈降速度は、炎症反応や感染症以外の要因によっても影響を受けることがあります。例えば、妊娠や高齢などでも赤血球沈降速度が上昇することがあります。
- 他の検査との併用：赤血球沈降速度は、他の検査結果と併せて判断することが重要です。単独で診断に使用することは避けましょう。
まとめ
赤血球沈降速度は、炎症性疾患や感染症の診断において重要な指標となります。ウェステルグレン法をはじめとする測定方法を用いて、赤血球沈降速度を測定することができます。赤血球沈降速度の異常値は、病気の存在やその進行状況を把握するための重要な情報となりますが、他の要因によっても影響を受けることがあるため、一つの検査結果だけで判断することは避けましょう。
この記事を通じて、赤血球沈降速度についての理解を深めていただければ幸いです。
